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20年鞄・革小物の業界にいます。

ナイロンバッグの素材『CORDURA NYLON(コーデュラ ナイロン)』について

 

 ナイロンバッグに関して、良く聞かれるのが素材についてです。

⭐︎ この素材は「●●社のファブリックを使用しています。」

⭐︎この素材は「コーデュラナイロン」を使用してます。

⭐︎この素材を使っているので、耐久性が高いです。

 

等素材名が書かれているが、

それが何の事だかよく分からないことありませんか?

私も業界関係者でなければ、知る事もなかったと思います。

 

今回はBAGの素材(ナイロン)について、代表的な素材

CODURA NYLON(コーデュラナイロン)を紹介していきます。

BAG購入のご参考になればと思います。

 

CORDURA NYLON(コーデュラナイロン)

CORDURA NYLON ネーム

良く鞄にこのネームが付いているのを見かけると思います。

このネームが付いている、バッグなどの日常的なアイテムからアウトドア用品まで…
(最近だと洋服まで)幅広くいろいろな商品に付いています。

 

タグは見たことがあるけれど、一体「CORDURA(コーデュラ)」とは…?
どんな素材なのか、知らない方も多いのではないでしょうか。

ここでは「CORDURA(コーデュラ)」素材の特徴やケア方法等を解説していきます。

 

■ CORDURA NYLONについて

「CORDURA(コーデュラ)」は、

ナイロンの7倍もの強度を持つ耐久性に優れた繊維と言われており

※単純にナイロンの7倍というだけでも、強度が高い素材というのが分かります。

 

アメリカのインビスタ社が製造販売している素材です。

 

インビスタ社が開発した素材

余談ですが、スポーツウェアに使われいる、「COOL MAX」もインビスタ社の素材になります。

 

インビスタ社は簡単に言うと、

世界最大級の化学中間体・ポリマー・繊維の総合企業になります。

 

その会社が製造している素材が「CORDURA(コーデュラ)」になります。

※正式には「CORDURA® fabric」と表記します。

とても高機能な素材として知られており、
高強度であるというのが一番の特徴です。

インビスタ社の素材ですので、
コーデュラを生産するときの糸もインビスタ社のものを使用しています。

コーデュラはどこの工場でも作れるものではなく、
インビスタ社が認めた
限られた生地工場、生地パートナーでしか生産できません

1967年コーデュラ®ブランドナイロン繊維を公式に発売を開始し、

コーデュラ®ファブリックの優れた強度と耐性はアウトドアブランドでも評価され、

Kelty、Kletterwerks、Jansport、Eastpakなどのブランドがバックパックに使用をすることになります。

Jansport、Eastpak等はいまだに「定番品」として販売しています。

Jan sport

 

 

 

East pak

 

 

 

その後生地の丈夫な耐久性は米軍にも認められ、軽量で丈夫な戦闘ブーツ用として革に代わり、テクスチャ加工の1000dナイロンコーデュラ®生地が導入されました。

 

ミリタリー

ミリタリーのCORDURAは軍専用の素材になっており、一般的なCORDURAより強度のある仕様になっています。

 

■ CORDURA の特性

そんなこだわり抜かれたコーデュラですが、一般的なナイロンと何が違うのか?
コーデュラの優れた特徴をご紹介していきます。

① 強度の強さと耐性

 

なぜコーデュラには強度があるのか。

それは、強度に優れた糸を使って作られているからです。
この強度に優れた糸、というのは徹底管理された、インビスタ社のものが使用されています。

なので、摩擦や引き裂き、擦り切れにとても強くアウトドアの過酷な環境下などにもピッタリの素材になります。
アウトドアブランドのバッグパックはもちろん、テントなどにも使用されています。

 

② 撥水と防水性

コーデュラの裏面には「PU(ポリウレタン)加工」が施されており、
撥水性にも優れています。

CORDURA 裏 ポリウレタン加工


アウトドアブランドでも多く使われる理由の一つです。

ちなみに生地に光沢があるように見えるのも、
この「PU(ポリウレタン)加工」が施されているからです。

防水加工が施されている商品もありますが、コーデュラの生地自体は完全防水ではありません。

※またポリウレタン加工は経年によって劣化していきます。

裏地が糊が剥がれる様な状態になり、これは生地からポリウレタン加工が剥がれた状態

になります。

PU加工 剥離

これは加水分裂によるものなので、避けられないのですが、

普段のケアによって長く使える様にはなります。

 

③ 軽量

強度がある素材ならば重いイメージがありますよね。ですが、コーデュラはナイロンの特徴である軽さも保持しています。

「軽くて丈夫」という使いやすい素材だからこそ、現在ではバッグやウェアだけではなく、帽子や小物など様々なアイテムに採用されています。

 

■ D(デニール)によって強度や特性が変わる

 

コーデュラの特徴である強度と耐久性について欠かせない情報が、デニール(denier=d)です。コーデュラの繊維の太さ=強度を表す単位と思ってください。

デニールという単位は、デニムやタイツなどでも一般的に使われている糸の単位です。「糸が9,000メートルの長さで何グラムあるか?」というもので…

・1,000d は、9,000メートルで1,000グラム(=1キログラム)の重さの糸
・500d は、9,000メートルで500グラムの重さの糸
・1d は、9,000メートルで1グラムの重さの糸

ということです。つまり、

デニールの数字が大きければ重くて厚い、小さければ軽くて薄い糸ということです。

女性の方だと、タイツの思い出していただけると、分かりやすいと思います。

D(デニール)が低い数値のタイツ程、薄く透けて見える。

上のグラフは、コーデュラナイロンと、他の繊維を比較したものです。

500デニールよりも1,000デニールの方が糸の目が詰まっていて、重く丈夫な生地です。だからと言って1,000デニールの方が優れていることばかりではありません。

同じCORDURAの500デニール生地と、1,000デニール生地を比較してみましょう。500デニール生地は、生地重量に対して丈夫で高い耐久性・耐水性があります。しかし1,000デニール生地は、500デニール生地よりも優れた耐久性・耐摩耗性を発揮しますが、重量は約2倍になります。また、織目の間隙率が多くなり耐水性が劣ってしまいます。それぞれの特性に合わせて、生地を使用することが大切です。

 

デニール数が高い=丈夫で耐久性は高いが重く、耐水性が弱い

デニール数が低い=ある程度は丈夫で軽く、1000Dより耐水性は高い

 

個人的には、街中で仕様するBAGであれば、

500Dのコーデュラでも十分強度・耐久性は確保できると

思います。

 

■ CORDURA(コーデュラ)のお手入れ方法

 

 

■ ホコリや軽い汚れにはブラッシング

 

 

コーデュラに限らず、ナイロン製品でもブラッシングをかけてあげるのは大切です。

鞄に付いた汚れを靴用の馬毛ブラシで繊維を傷つけない程度に軽くブラッシング

をしてあげて下さい。

汚れは撥水性を弱くする事があります。

 

■ 洗濯機の仕様はNG

 

洗濯機は基本NGです

洗濯をすることで加水分解し、ポリウレタンコーティングが剥がれ落ちることで、撥水性が低下してしまう可能性があるからです。

ただし洋服でコットンと混紡しているモノもありますので、

BAGに限るという認識でお願いします。

 

■ 防水スプレーで劣化を予防する

コーデュラにはポリウレタンコーティングが施されているため、撥水性があります。しかしながら 使用年数が長くなればなるほど、コーティングは徐々に剥がれていくものです。

そんな時は、市販の防水スプレーを使うことをおすすめいたします。

その際使うスプレーは「フッ素入り防水スプレー」をオススメします。

フッ素入りスプレーは、水の粒子よりは小さく、空気は通す特性があるので、カビ等になりずらいメリットがあります。

 

オススメなのはM.モゥブレイ プロテクターアルファです。

プロテクターアルファ

 

 

 

モゥブレイ特性

 

 鞄だけでなく、傘や衣類、靴等にも使える

「万能防水スプレー」です。

 

部分的に偏らないよう、製品全体に満遍なく 吹きかけるようにしてください。一箇所に集中的にスプレーすると生地が変色してしまう可能性もあるからです。

 

以上BAG素材の代表的な素材「CORDURA(コーデュラ)」

について素材特性やお手入れ方法等を書かせていただきました。

いかがでしたでしょうか?

BAG購入時に少しでもお役立てできればと思います。

そしてはコーデュラ素材だけでも、様々なバリエーションが存在しております。

こちらについては後日改めてお伝えできればと思います。